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●血圧計なら手首式がお勧め。腕まくりする必要もないので、冬場は特にありがたい。 |
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| ●1999年8月22日(日)脳卒中発病 「オレの左手は?」 |
◆日曜日の午後、まどろみから覚めたニキト(54歳)は、ベッドから出ようとして壁との隙間にハマリ込んでしまった。久しぶりに訪れた女友達とワインを一瓶空け、うたた寝したのだった。抜け出ようともがくがハマリ込んだまま。「助けて、出してくれ」と彼女に引っ張り出してもらったが激しい頭痛と経験したことのない違和感が体にはあった。
左の手脚が自由に動かないのに気づく。「オレの左手はどこだ?」「これがあなたの左手よ!」「脳卒中かも知れない」とニキトは考えた。 仰天した友人が119番。家族をくも膜下出血で亡くした彼女は「CTのある病院に搬送して!」と救急隊員に強く要請した。
その結果、休日ということもあり、隣市の救急病院へと越境して運ばれた。生まれて初めて救急車に載せられたニキトは、ストレッチャーがすんなりとエレベーターに収まったので「棺おけで帰宅してもOKだな」と内心では弱気になっていた。この後、彼がこのマンションに帰ることはなかったが…。
*CT(Computerized Tomography )コンピュータ断層撮影法による検査診断装置。
MRI(磁気共鳴画像診断)も使われるが、X線を使わない分放射線被爆の心配がない。
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| ●脳卒中とは |
◆ガン、心筋梗塞と並び日本人の3大死亡原因のひとつ。脳卒中とは、脳の血管が閉塞(詰まる)か破れて出血し、片マヒ、言語障害、意識障害などの症状が急激に出る状態をいう。最も多い原因は、脳梗塞、次いで脳出血、くも膜下出血の順。症状は放っておくとどんどん進行する(後遺症は重くなる)ので、すばやい治療が必要。
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| ●発病時は110番も |
(1)治療は一刻を争う。迷わずに救急車のお世話になるべし。
(2)倒れてすぐ昏睡状態になることもある。むやみに揺すったり移動したりせず、横向きに寝かせ気道を確保して救急車を待つ。
(3)診断の決め手はX線CT。手術が必要になることが多いので内科ではだめ。「CTと脳外科」のセットで病院を選ぶこと。
(4)倒れた時、周りに誰もいなかったら自分で救急車を呼ぶしかない。しかし言語中枢をやられ、話が出来なくなることも多い。幼児の悪戯ととられて救急車が来なかった例がある。110番なら逆探知して様子を見にきてくれるはずだ。
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| ●1999年8月22日(日)緊急入院。沈黙の殺し屋にやられた |
◆CTによる診断は「高血圧性脳内出血」でニキトは緊急入院となる。出血が少なかったニキトは手術せずに止血剤と脳浮腫抑制剤の点滴で様子を見ることになった。
尿道に管を入れられ、鼻には酸素、腕には血圧のカフと点滴針、胸には心電図の電極などを付けられ、ICUのベッドで夜も昼も分かたぬ日々を経験することになった。
高血圧はサイレントキラー(沈黙の殺し屋)と呼ばれる。苦痛などの派手な兆候もなしに突然襲ってきて死をもたらすからだ。ニキトは健康診断で幾度も高血圧と言われていた。倒れるおよそ一年前から降圧剤を服用してはいたが、脱サラ以来「薬代にも事欠く」貧窮状態で、薬離れしていた。
受診した病院の医師は降圧剤の説明を間違えてニキトに不信感を与えた。説明と違う副作用が出た彼は図書館で調べた。血管拡張剤と言ってβブロッカーが処方されていた。その上「心臓が苦しい」というニキトの訴えに耳を貸さず「効果が出ないので増量する」と医師は宣言するのだった。
ニキトは逃げた。そして半年後に倒れた。
*ICU(Intensive Care Unit): 集中治療室
* 血管拡張剤/βブロッカー :どちらも降圧剤(血圧を下げる薬)の種類名
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| ●転ばぬ先の杖 |
(1)サイレントキラーを侮るべからず。
(2)倒れて悔んでも遅い。普段の健康管理のため近所に信頼できる医師を確保する。
(3)定期的に健康診断を受ける。特に自営業の方は注意。
(4)通称ピルブック『医者からもらった薬がわかる本
』などを本棚に。
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| ●脳卒中の後遺症 |
◆脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などで、血管が詰まったり破れたりすると、その部分の脳細胞が壊死する。一度死んだ細胞は再生することはない。そのためにその細胞が司っていた機能が失われて後遺症となる。
◆後遺症で最も多い「片マヒ」と呼ぶ半身不随は、脳の損傷部位とは逆に現れる。例えばニキトのように右脳で出血すると、左片マヒとなり左の手脚に障害が現れる。
左脳なら、右片マヒで右の手脚が不自由になり、右利きだった人は、苦労する。その上に、言語中枢は左脳にあるため、言語障害が多く現れる。
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